はじめての介護・老人ホーム

特別養護老人ホームは、なぜすぐに入れないのか

特別養護老人ホーム(特養)は、費用を抑えやすい公的な施設です。 そのぶん希望する人が多く、申し込んでもすぐには入れないことがあります。

いつ入れるかを、このページや当サイトがお伝えすることはできません。入所の順番は申し込んだ順ではなく、施設ごとに、入所の必要性の高さで決まるためです。

このページでは、国と自治体が公表している資料をもとに、入所を申し込んでいる人の数、 入所の決まり方、待っている間に考えられることを説明します。

1. 入所を申し込んでいる人の数

厚生労働省の調査では、2025年4月1日時点で、特別養護老人ホームへの入所を 申し込んでいる人は次のとおりでした。

  • 要介護3以上の入所申込者

    20.6万人

    うち在宅の方 8.6万人

  • 要介護1・2(特例入所の対象)

    1.8万人

    うち在宅の方 0.9万人

前回の2022年度の調査(要介護3以上 25.3万人)と比べると、約18%減っています。

出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」(令和7年12月25日公表)

地域の例(施設ごとの数)

地域によっては、1つの施設に定員を大きく上回る申し込みがあります。 たとえば東京都文京区では、区内の特養の申込者数が次のようになっています (令和8年7月1日現在)。

  • 文京大塚みどりの郷

    申込者 142人

    ユニット型個室 定員29人

  • 洛和ヴィラ文京春日

    申込者 211人

    ユニット型個室 定員99人

  • 小石川ヒルサイドテラス

    申込者 177人

    ユニット型個室 定員99人

  • 文京くすのきの郷

    申込者 144人

    定員100人

一方で、文京区全体の入所希望者は385人です。 1人が複数の施設に申し込めるため、施設ごとの人数を足すと区全体の人数を 大きく上回ります(文京区では1人5件まで申し込めます)。

「211人待ち」は、自分の前に211人が並んでいるという意味ではありません。

出典:文京区「特別養護老人ホームの入所について」

2. どのくらい待つのか ― 言えること・言えないこと

全国で「平均◯年待ち」と言える公的な統計は、確認できた範囲ではありません。

手がかりになるのは、国の補助事業として行われた調査研究(令和4年度)です。 全国の特養987施設の名簿に載っている約8.6万人について、申し込んだ時期を調べたところ、「3年以上前」が26.7%でした。

要介護度による違いもあります。都道府県の集計では、申し込みから1年以上たって 名簿に残っている人の割合は次のとおりで、要介護1・2の方のほうが、長く名簿に残っている傾向がありました。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究 報告書」 (令和4年度 老人保健健康増進等事業、令和5年3月)

3. 申し込んだ順ではない ― 入所の決まり方

原則として、要介護3以上の方が対象です(2015年4月から)。

要介護1・2の方も、次のようなやむを得ない事情があれば「特例入所」の対象になります。

  • 認知症があり、日常生活に支障をきたすような症状・行動や、意思疎通の難しさが 頻繁に見られる
  • 知的障害・精神障害などを伴い、日常生活に支障をきたすような症状・行動や、 意思疎通の難しさなどが頻繁に見られる
  • 家族などによる深刻な虐待が疑われ、心身の安全・安心の確保が難しい
  • 一人暮らしである、同居の家族が高齢または病弱であるなどで家族の支援が期待できず、 地域の介護サービスや生活支援も十分でない

自治体によっては、独自の事情を加えています。たとえば文京区は、おおむね40歳未満の 子ども・若者が家族の介護を過度に担っている状況を加えています。

順番の決まり方

入所する人は、施設ごとに、入所の必要性の高さで決まります。国の指針は 「介護の必要の程度」「家族の状況」や、在宅サービスの利用状況などを考慮する こととしており、施設に設けた委員会の話し合いで入所を決めることになっています。

多くの自治体が、考慮する事柄を点数にした基準(入所指針)を公表しています。 たとえば文京区では、次の項目を点数化し、合計点の高い人から名簿に載せています。

  • 要介護度
  • 認知症による日常生活の状況など
  • 年齢と区内に住んでいる年数
  • 在宅サービスの利用率
  • 家族や介護する人の有無とその状況

点数の付け方は自治体ごとに違います。お住まいの市区町村の入所指針をご確認ください。

特例入所の運用には、地域差があります。令和4年度の調査研究では、特例入所が「運用されている」と答えたのは都道府県の 97.9%、市区町村の87.2%でした。一方、町村では16.5%が 「指針が定められておらず、特例入所は運用されていない」と答えています。

早く入所する方法はあるか

申し込んだ順ではないので、早く申し込めば早く入れる、というしくみではありません。入所の順番は、入所の必要性の高さをもとに決まります。

本人や家族の状況が変わったときの扱いは、入所指針や、施設の申し込みのルールによります。担当のケアマネジャーか、市区町村の窓口に確かめてください。

4. 申し込みの手続きで知っておくこと

申し込みのルールは、自治体や施設によって違います。ここでは文京区の例を紹介します。お住まいの地域では違う場合があります。

複数の施設に申し込むと、希望の順とは違う施設から先に連絡が来ることがあります。 お住まいの地域のルールをあわせてご確認ください。

国の指針では、施設は入所指針を公表し、入所を希望する人に内容を説明することに なっています。申し込む前に、お住まいの市区町村の担当窓口か、 担当のケアマネジャーに確認してください。

5. 空きが出ていても、入れるとは限らない理由

当サイトには、施設が「空きあり」と公表している施設の一覧があります。特養がそこに出ていることもあります。

ただ、特養で空きが出たとき、誰が入所するかは、申し込んでいる方の中から、 入所の必要性の高さに沿って施設の委員会が決めます。公表されている空き人数は、新しく申し込む方がすぐに入れる枠を示すものでは ありません。

空きの記載がある特養に関心がある場合も、まずは入所の申し込みと、 その地域の入所指針の確認が必要です。

6. 待っている間に考えられること

特養を待っている間の過ごし方は、要介護度、医療の必要性、費用、家族の状況によって 変わります。どれが合うかを、このページや当サイトがお伝えすることはできません。担当のケアマネジャーと相談しながら考えることをおすすめします。

考えられる選択肢には、次のようなものがあります(順不同)。

他の施設や住まいを利用しながら、特養の申し込みを続けられるかどうかは、 自治体の入所指針によって扱いが違います。

7. 相談できるところ

  • お住まいの市区町村の介護保険の担当窓口
  • 担当のケアマネジャー
  • お住まいの地域の地域包括支援センター

8. この記事の出典

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